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話が脱線しかけたが、コンビニが側に無い生活に嫌気がさし、不満を募らせていた僕に吉報が届く。
転勤から数ヶ月。
社員寮から徒歩一分の好立地に『エブリデイズ 星空通り店』がオープンしたのだ。
この時の僕の喜びようといったら、まるで長く辛い遠距離恋愛の末に成就した新婚生活さながらで、オープン初日から胸を躍らせ通い始めることなるのだが・・・・・・ーー
まさか、そのコンビニにこれほど苦痛を味わわされることになろうとは。
些細なことだと言われればそうなのかもしれない。
だが僕にとっては重大な問題で、精神的に耐えがたい状況にまで陥ってしまったのだ。毎日毎日、チクリチクリと針で刺されるような拷問を受けているように。
そこで、残念ながら改善の余地無しと判断し、僕は『エブリデイズ 星空通り店』に苦情文書を送ることを決意した。
清々しい休日の朝。
冷静な判断と真摯な姿勢を崩さぬよう、僕はスーツに身を包み机に向かう。
白い便箋と封筒、使い慣れたボールペン。そして『苦情文書完全マニュアル』なる実用書の企業宛編のページを開き、傍らに置く。準備は万端だ。
これは脅迫状ではない。
あくまでも、問題の解消・改善を願う文書である。
僕は込み上げる緊張感を抑えつつ、ペンを走らせた。
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