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この力は、人間でいうところの『生き霊』のようなものだ。
念じると、その念が身体を離れ、思うところに飛んで行く。
「でも、何で華桜さんたちが、その事を知ってるっすか?」
「それは仕掛けた当の本人、龍神から聞いたからだ」
「――華桜さんて、本当、交際範囲広いっすね」
龍神曰く、「あれだけ信心深い家族はいない。故に、娘の死に、対面さすのが忍び難かった」ということだ。
「だが龍神も、紗希子がまさか人間、元治と恋仲になるとは思ってもいなかったらしい」
それはそうかもしれない。身体は人間だが魂は白蛇なのだから、妖よりもややっこしい。
「一度は結婚したが、紗希子もかなり悩んだようだ。そして、子供のこともあり、結局、離婚した。だからな、本当のところは、鈴の嫌味など紗希子にとっては微々たることだったのだ」
「でも、鈴さんは自分が原因で別れたと思っているっす」
「だから、それを知って紗希子は戻ったのだよ」
白夜が微笑む。
「元治さんに未練があって戻ったんじゃないっすか?」
「それもあるだろうね」
「じゃあ、鈴さんの願い通り、復縁もあるっすね!」
白夜も華桜も首を横に振る。
「それは分からない。当人のみぞ知るだ」
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