04) 壊れない愛恋

28/42
前へ
/205ページ
次へ
この力は、人間でいうところの『生き霊』のようなものだ。 念じると、その念が身体を離れ、思うところに飛んで行く。 「でも、何で華桜さんたちが、その事を知ってるっすか?」 「それは仕掛けた当の本人、龍神から聞いたからだ」 「――華桜さんて、本当、交際範囲広いっすね」 龍神曰く、「あれだけ信心深い家族はいない。故に、娘の死に、対面さすのが忍び難かった」ということだ。 「だが龍神も、紗希子がまさか人間、元治と恋仲になるとは思ってもいなかったらしい」 それはそうかもしれない。身体は人間だが魂は白蛇なのだから、妖よりもややっこしい。 「一度は結婚したが、紗希子もかなり悩んだようだ。そして、子供のこともあり、結局、離婚した。だからな、本当のところは、鈴の嫌味など紗希子にとっては微々たることだったのだ」 「でも、鈴さんは自分が原因で別れたと思っているっす」 「だから、それを知って紗希子は戻ったのだよ」 白夜が微笑む。 「元治さんに未練があって戻ったんじゃないっすか?」 「それもあるだろうね」 「じゃあ、鈴さんの願い通り、復縁もあるっすね!」 白夜も華桜も首を横に振る。 「それは分からない。当人のみぞ知るだ」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加