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「一度死ねば、その身は亡骸だ。何をしても許される」
「エーッ! ということは生き返らせちゃったんすか!」
あまりの大声に華桜はベシッと左近の後頭部を叩く。
「いちいち煩い!」
「人間から見れば生き返ったように見えるだろうね」
左近は後頭部をナデナデしながら、白夜の言葉に頷く。
「だが、違う。紗希子の命は確かに尽きた。今、紗希子を生かしているのは白蛇の命だ。言わば紗希子はゾンビだ」
フフフと不気味な笑みを浮かべる華桜。左近は、ゾンビよりその笑みの方が怖いと思った。
「華桜、ゾンビは言い過ぎですよ。だからね、左近が紗希子さんの真の姿が見えないのは当然なんだよ」
「お主と白蛇は同格で力が弱い。視えるはずがない!」
白夜に叱られた華桜は、八つ当たりのように言う。
「でも、あの時、シュルルって消えて白蛇になったんすよ。人間はそんなことできないっす」
「当然です。左近が見たのは、おそらく白蛇の念力でしょう」
嗚呼、そういうことか、と左近は納得する。
神使は神のような『神通力』という強い力はない。その代わり、『念力』と呼ばれる力を持つ。
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