01) 狐の初恋

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「拒否!」 「ちょっとぉ、まだ何も言ってないっす」 「聞かなくても分かる。どうせ、つまらぬ質問だろう」 華桜がツンとソッポを向くと、白夜が「華桜、拗ねていないで聞いてあげなさい」と優しく(いさ)める。 「左近、何だい? 言ってみなさい」 嗚呼、本当に女神様だ。雄猫だけど……男だけど……。 美人な上に心まで綺麗だと左近はしみじみと白夜を見つめる。 「其方(そなた)、殴られたいのか?」 途端に飛んでくる地を這うような黒い怒りの声。 華桜の嫉妬レーダーが作動したようだ。 「今、(よこしま)な気持ちで白夜を見ただろう」 「ごっ誤解っす。俺、白夜さんにそんな気、全く無いっす!」 「フン、どうだか」 華桜は(いぶか)しげな眼で左近を見る。 「第一、弟神使。お主、初恋もまだだろうが。好きになるのが女とは限らないではないか!」 左近はもげそうになるほど首を左右に振る。 「ナイナイ! 男は無いっす。それに初恋あるっす」 「何! それは本当か?」 左近の頬が薄っすらピンク色に染まる。 「花より団子の其方に初恋。ほほう、面白い聞かせよ!」 イヤ、それより質問がと思う左近だが、有無も言わさぬ華桜の眼光に渋々口を開く。
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