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「天使も穴を通って来ているのか? どこの子だ」
天使は天使だろう、どこの子もそこの子もないのではと左近は心の中でツッコム。
「違うっす。本物のエンジェルじゃなく、天使みたいな人間の娘っす」
「なんだ、紛らわしい!」
フンと口をへの字にして、ちょっと考えると華桜はおもむろに訊ねる。
「で、その天使とやらと我、どちらが可愛い?」
ここで言葉を間違えるととんでもない事態になる。それを左近はよく知っている。
「えっと可愛いのは天使みたいな女の子っすが……」
「何!」と華桜の瞳が鋭く光り、左近を睨み付ける。
ヒーッ、怖い! 左近は身を縮めながら言葉を続ける。
「でっでも、美しい……綺麗なのは華桜さんっす」
華桜はすぐさま、当然だ、と言うように軽く頷く。
口角が少し上がっているのに気付いた左近は、どうやら言葉を誤らなかったようだとホッとする。
「で、その可愛い天使とやらはどこの娘だ」
明らかに嫌味混じりの声が訊く。
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