01) 狐の初恋

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華桜は、「やれやれ、世話がやける奴だ」と面倒臭そうに溜息を一つ零し説明する。 「恋とは、『特定の相手を好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情のこと』と辞書にも載っておろうが! それにお主の感情は全く当てはまらぬわ!」 確かに、と左近は納得する。 「ただ、其方の心が恋に一歩近付いたことは確かだ。だが、それをお主自身が否定した。『人間との恋は叶わない』というジンクスの方を信じてな」 ジンクス……確か、『縁起のよい、または悪い云い伝え』という意味だったなぁ、と左近はボンヤリ思い返す。 「結局、それだけの想いだったということだ」 だからアレは初恋でも何でもなかった、ということか……? 「――恋って難しいもんっすね」 ポツリと呟く左近の言葉に華桜は鼻で笑う。 「そうやって頭で考えているうちは恋など出来はせぬわ! この(たわけ)け者めが!」 華桜の罵詈雑言(ばりぞうげん)に、「もういいっす。花より団子の方でいいっす。食事作り頑張るっす」と左近は思い直したように言う。 「そうか、今のお主にはそっちの方が我が為になる」
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