479人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
華桜は、「やれやれ、世話がやける奴だ」と面倒臭そうに溜息を一つ零し説明する。
「恋とは、『特定の相手を好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情のこと』と辞書にも載っておろうが! それにお主の感情は全く当てはまらぬわ!」
確かに、と左近は納得する。
「ただ、其方の心が恋に一歩近付いたことは確かだ。だが、それをお主自身が否定した。『人間との恋は叶わない』というジンクスの方を信じてな」
ジンクス……確か、『縁起のよい、または悪い云い伝え』という意味だったなぁ、と左近はボンヤリ思い返す。
「結局、それだけの想いだったということだ」
だからアレは初恋でも何でもなかった、ということか……?
「――恋って難しいもんっすね」
ポツリと呟く左近の言葉に華桜は鼻で笑う。
「そうやって頭で考えているうちは恋など出来はせぬわ! この戯け者めが!」
華桜の罵詈雑言に、「もういいっす。花より団子の方でいいっす。食事作り頑張るっす」と左近は思い直したように言う。
「そうか、今のお主にはそっちの方が我が為になる」
最初のコメントを投稿しよう!