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じっと見つめ続けていたがそれきり音はしない。気のせいかとも思いはじめた時──
ドンっ! ドンっ!
また、同じ音が聞こえた。
「おばあちゃん! おばあちゃん!」
ボクは台所までおばあちゃんを呼びに行った。
「どうしたね?」
夕飯の支度をしているようだ。
「なんか、ドンドンッって音がする……」
おばあちゃんは小首を傾げてから、
「そりゃあ、ねずみだよ~」
と言ってまな板で魚を切り始める。ねずみにしてはやたら重い音だった。
その夜、夕飯を食べてすぐにボクは眠くなり、客間におばあちゃんが用意してくれた布団の上で寝てしまった。
それからどれくらいの時間が経っただろう。
ボクはあのドンっという音で目を覚ました。
柱の時計が12時を指している、こんな時間にまたねずみだろうか?
ドンっ! ドンっ!
重く繰り返すその音、布団を頭まで被ってやり過ごそう、そう思ったその時だった。
ドンっ! ドンっ!! ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
まるで大勢の人たちが足踏みする音が響き、ボクはびっくりしてすぐにおばあちゃんのいる部屋へ走っていった。
ふすまを開けると、何故かおばあちゃんは自分の布団の上に正座して、じっと天井を見つめている。
「おばあちゃん? ねぇ! アレ本当にねずみ? 誰かいるんじゃ……」
「…………」
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