足跡

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 それから数日経ったある日の明け方、目が覚めトイレに行こうとベッドから体を起こした俺は、思わず小さく「ひっ」と声を上げた。  布団にあの足跡がついていたのだ。まるでアイロンで焦がした跡のように、真っ黒な、足跡が。  足跡は隣で寝ている妻のところで消えており、俺は思わず布団をめくった。  見れば妻の腹部に、足跡が左右揃ってくっきりついていた。  やがて足跡はスゥーッと消えていき、それ以降、地面に足跡がつくことはなくなった。
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