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そう俺は気をつけるべきだった。真壁でも通り魔でもなく、文字通り“魔”に。そして“間”に。
今朝占い師が居た場所では、赤い自販機がぼうっと白い光を浮かべていた。
ああ、もしやあれは幽霊かもしれない。幽霊など信じたことはないが、しかし幽霊に違いない。
俺はその自販機にお金を入れ、缶コーヒーをひとつ買った。俺の泥を被ってくれる、せめてもの感謝を込めて。
がしゃり。
がしゃり。
ぐしゃり。
なん、だ、ろう。
小銭の音に混じって、何かを金属が貫く効果音に、俺は背を振り向いた。
返り血をあびるローブから、垣間見える濁ったふたつの眼。
そこには、本当に気をつけるべき“ま”が棲んでいた。
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