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//* 1 * 大切な日、始まりの日
誰もが夢を見るだろう。
でも、同じ夢を何度も見ることは少ないと思う。
覚醒後も夢の話を覚えていることは稀だ。
でも、時々であっても同じ夢を何度も見れば覚えていることも多くなる。
「ああ、またキミか……」
そう呟いてみるが、これは夢の中である。
もう半年だろうか、いや、記憶が曖昧な時期も含めれば一年は経つかもしれない。
何度も見た夢であり、それとなく夢と自覚できるほどになっている。
「すまない、何を言っているのかわからないんだ」
目の前に立つ少女は、しきりに何かを訴えている。
姿を見れば、小柄且つ可憐。それでいてやせ細ってはいない。
年齢はまだ10代に見える、銀色の長い髪が可憐さも感じる。
出来れば、会話を楽しみたいほどだ。
ただ、訴えてくる内容は、わからない。言葉が通じないのだ。
言語の問題ではなく、音が無い。声を発していない。
ひたすら手振りを加え、何か言っているのは分かる。
その雰囲気から何かを訴えようとしているのは感じる。
時々見る夢の中で、超難問のジェスチャーゲームに長いこと挑戦している。
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