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閻魔
寒い季節になり、カスミさんはだんらんの部屋に炬燵を出した。そして、しばらくカスミさんは掃除や洗濯をして、一息つこうと炬燵のスイッチを入れて足を突っ込んだ。少しして、
カスミ「あいたっ痛い!!」
カスミさんが炬燵の中を覗くと、一足早く炬燵の中に入っていたチャッコが、カスミさんの右足を噛んでいた。
カスミ「コラッチャッコ!!あんた、こんな所におったんかね。外に出とるのかと思った。なんでそんなことするの?痛いがね。離しなさい!!」
カスミさんは、チャッコの頭を掴んで足から離し、炬燵から足を出した。
カスミ「イタタタタッせっかく炬燵を出したのに、これじゃあ入れんがね。」
一 夕方 一
秀さんは山から帰って来て、カスミさんといつものように酒を飲みながら晩飯を食べ、今日はだんらんの部屋に炬燵を出したというのをカスミさんから聞いたので、早速、炬燵のスイッチを入れて足を突っ込んだ。酒を飲みながら、大好きな時代劇を見ていると、
秀さん「あいたっ痛い痛い!!」
秀さんは慌てて、炬燵から右足を出した。秀さんは痛風だったので、人一倍足が痛いのだ。
秀さん「あいたっこっちもか。足が重いがや。」
秀さんが炬燵の中を覗くと、チャッコが両前足で秀さんの左足を持ち、噛みついていた。この光景を見て、秀さんは叫んだ。
秀さん「この炬燵の中には閻魔がおる。母さん、うちの炬燵には閻魔がおるぞ!!」
秀さんの声を聞いて、カスミさんもだんらんの部屋にやって来た。
カスミ「ほうよ、チャッコやろ。私も昼間噛まれたんよ。」
秀さん「ほんとに困ったもんじゃ。わしはもう寝る!!チャッコに噛まれて、痛風がひどなったがや。」
カスミ「お父さん、もうお酒やめなさい!!痛風が酷くなったらどうするの。」
秀さん「分かった分かった!!はい、お休みなさい。」
秀さんは、カスミさんから逃げるように自分の部屋へ入って行った。
カスミ「チャッコ、今日はそこで寝るんかね。」
チャッコは、知らん顔で炬燵の中で丸くなっていたので、カスミさんは炬燵のスイッチを切った。
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