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淋しい熱帯魚
カスミさんは、街の絵画教室へ行った帰りに、ホームセンターでグッピーを飼った。そして、家に帰ると、こないだ、倉庫から出して洗った水槽に水を入れて、ヒーターで水温を上げ、シッポの色が黒、赤、青の三種類のグッピーを20匹ほど入れた。
カスミ「わあ、きれいきれい。やっぱり、熱帯魚を飼って正解だったわ。」
夕方になり、秀さんが山から帰って来た。玄関入口に置いてある水槽のグッピーを見て言った。
秀さん「おお、母さん。熱帯魚を飼うことにしたんかや。なかなか、きれいやのう。」
カスミ「そうやろ、グッピーは沢山増えるけんね、増えたら水槽を1個2個と増やしていこうと思うんよ。」
秀さん「そりゃええ、家の中が色鮮やかになってええわい。グッピーが何匹増えるのか、楽しみじゃのう。」
その日から、カスミさんは毎日、グッピーに餌をやっては見て楽しんだ。グッピーを買ってから一週間ぐらいたったある日、いつもの日課で、昼前に、家の近くにある畑でジャガイモを何個か採って、家へ入り、玄関の水槽を見て思わず、
カスミ「あっ!!」
と叫んだ。水槽の熱帯魚が全て、見事に茹で上がり、水面に浮かんでいた。
カスミ「なんでこんなことに!!」
水槽のヒーターの温度を見ると、最高温度になっており、水が物凄く熱くなっていた。
カスミ「これは、たぶんチャッコの仕業やね。チャッコがグッピーを取ろうとして、このヒーターの温度を上げてしまったんだわ!!」
一 夕方 一
秀さんが山から帰って来るのとほぼ同じぐらいに、チャッコも、台所にあるチャッコ専用の入口から帰って来た。晩御飯を用意していたカスミさんは、チャッコを見て叱りつけた。
カスミ「チャッコ!!あんたは熱帯魚を茹でてしもて!!せっかく私は、グッピーをいっぱい増やそうと思とったのに!!」
秀さんも、玄関で編み上げを脱いで、台所へやって来た。
秀さん「母さん、熱帯魚飼うの、やめたんかや?」
カスミ「チャッコが茹であげてしもたんよ!!」
カスミさんは、たぶんチャッコがグッピーを捕ろうとして、ヒーターの温度を上げたんだろうという推理を、秀さんに語った。
秀さん「ありゃあ、チャッコ!!そんなことしたらいかまいが!!」
しかし、チャッコは2人を無視して、キャットフードを食べていた。そんなチャッコを見て、秀さんは言った。
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