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2.恋という名の華は静かに咲いた。
気が付けば、季節は冬になっていた。
今だに消えない灰崎への思いを吹き飛ばすように屋上に来た黄瀬はそこで灰崎に出会う。
屋上のフェンスの向こう側に立っていた灰崎。
黄瀬は思わず声を荒らげた。
「何してんすか!!あんた!!」
言葉で説得するよりも体が先に動き今でも飛び降りそうな灰崎を引きずり戻す。
安全だと頭が認識すると黄瀬の体は力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「はぁ~。ビビったすよ!」
そう黄瀬が言えば目の前で俯いて座り込んでる灰崎は何も言わなかった。
不信に思った黄瀬は灰崎の名を呼ぶが何も反応を示さなかった。
それに腹が立った黄瀬は無理矢理、顔をこちらに向けた。
「んも!!聞いてるんすか!?ショーゴ、、、、く、ん!?」
黄瀬が見たのは、何も映さない灰色の目。
ここにいるのにまるで存在しないかのような雰囲気。
そこには、黄瀬が知ってる灰崎はいなかった。
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