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私は夜の路地裏を駆け抜けている。
自宅へと帰る近道だけど、今日はいつも以上に急ぎ足になっていた。
辺りは真っ暗で厚い暗雲に覆われている。叩きつける様な豪雨が降り、遠くの方では稲光が轟いた。
(ーー今日の私はウッカリだったわ。この馬鹿。)
傘代わりの鞄の役に立たず。おかげで頭に着けたシュシュからピンク靴下まで水浸しである。
ここからは一本道だけど、まだ家まであと少し。
(もう、最悪だわ。……早く着かないかな。)
と愚痴をこぼす。
だがしかし、ふと同時に違和感があった。
バシャバシャバシャ……。
と走り、止まる。
すると、間髪入れずに後ろから、ーー
バシャバシャバシャ……。
と全く同じ足音がしていた。
振り返るが誰もいない。だけど確かに人の足音だった。
バシャバシャバシャ。
バシャバシャバシャ。
(やっぱり、誰かいる!?)
私はまた走り出した。もう何も気にせずに全力疾走だった。
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