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真央の指差す先には
僕が作った失敗作のプリン。
そのプリンを
食べたいと言う真央。
「こっちのプリンの方が絶対に美味しいですよ。さあ、真央。口を開けてください」
「やっ」
一口分を
スプーンで取り
真央の口元に持っていくけれど
なぜか頑なに口を開けてくれない真央。
「あっち……あっちのがいい……」
「……真央、あのプリンは僕が作った失敗作ですから、こっちのプリンを」
「だから……食べる……」
「え?」
「私のために……はるに……作ってくれた……だから、食べる」
真っ赤な顔で
瞳をとろんとさせ
ふにゃりと笑いながら
そう言う真央の無防備な姿に
思わず真央の華奢な身体を
ギュッと自分の腕の中で強引に抱きしめた。
「……はるにぃ?」
いつから僕は
真央のことを
好きだったんだろうか……
気づけば自分にとって
真央の存在は
自分の隣にあって当たり前で
それでいてかけがえのないものになっていた。
こんなにも年が離れて
妹のように可愛がっていたのに
もしも真央が
僕のこの気持ちを知ったら
気持ち悪いと言われ離れていってしまうかな。
ですがもう
この気持ちは
抑えられそうにありません。
「……真央」
彼女の
名前をそっと囁き
僕は彼女の
オデコへと優しくキスを落とした。
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