吠える元春

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「何を馬鹿なことを。そんな簡単に謀反が成功する訳が無い。そんな  ふざけた話を信じるとでも思っているのか?」  フフンと鼻で嗤う元春。だが隆景はまっすぐ孝高の目を見る。 「いつまでに答えを出せば良いのだ?」 「こちらとしては待てるのは明後日までです」 「信長が死んだ後はどうする?」 「我が主が即座に京へと戻り、明智殿の体制が整う前に倒します。  旗が必要なのも、毛利軍が加勢していると思わせる為です」 「信長殿を確かに殺す算段は出来ているのか?」 「それは勿論。織田軍主力は北陸、関東、中国と分散していて、更に  四国攻めで紀州に兵が集まっている為に京はがら空き。安土城  から誘い出す手はずを整えてあり、信長様の護衛は2~3百名。  そこを明智軍と羽柴軍の2万で襲撃します」  黒田官兵衛の言葉にフッと嗤う隆景。一体どれ程前から暗殺を計画 して来たのか。智将で知られる信長を罠に嵌めようとするとは、正しく 策士の中の策士だと思った。 「判った。よくよく相談して明後日に返事を出す」 「戻って我が主秀吉に伝えます」   官兵衛は満足そうに頷くと、深々とお辞儀をして自軍に戻って行った。
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