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朽ちた樹皮から鮮血を思わせる真っ赤な樹液がドロドロと溢れ
月の光に照らされた大樹は赤く輝き
いつしか嘲笑は狂気を帯び、洞からは火花が飛び出した。
火種は樹液に触れると瞬時に燃えて駆け巡り、大樹は瞬く間に燦然と燃え上がった。
火は女のぶら下がる縄にも燃え移り、女の髪が異臭放ちながらチリチリと焼けた。
燃えて脆くなった縄は千切れ、女は草花が繁茂する地面に落ちた。
叩き付けられた衝撃と、頭の燃える痛みに女の意識は彼方から落ち戻った。
朦朧とする女が目にしたのは全身から血を流し狂喜に叫喚を上げながら
昂然とその身を燃え上がらせる大樹の姿だった。
真っ黒な炭と化した大樹は崩れ
もはや、どこに洞があったかも判然としなかった。
時を同じくして
大規模な地震と火災の惨禍によって、麓の町は壊滅していた。
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