6人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーーーー
「一体なんだったのよアイツ…」
敵の消滅した残滓の中に残るジュエルを拾い上げる。
「わかりませんが…いよいよ油断ならなくなってきているのは間違いないでしょう」
拾い上げたジュエルを見遣りながら、口許を結ぶ二人。
それを志帆はビルの屋上から見下ろしていた。
ーーーーーー
「本当に組織のやることは底が知れないわ…急がなきゃ」
ドアを開け、階段を駆け降りる。
が、数階降りたところ、少し拓けた踊り場に差し掛かった時、不意に声が聞こえた。
「…?」
廃ビルを選んだつもりだったが持ち主か?そう思って覗いた眼は凍りついた。
「あれは…組織の私兵」
息を殺し、やり過ごそうとするが努力は虚しくすぐに見つかる。
「何をしている…女」
どうやら素性はバレていないらしいが、活動を見られれば基本的に対象を消すのがこの私兵どものやり方だ。
殺されてしまう。
あの人との約束を守れぬまま。
"希望"を完成させることができないままに。
絶望に苛まれた私は"ある名"を呟く。
「助けて…天樹」
振りかぶられる刃。
「ちょっと待った」
しかしそれは振り降ろされることなく、別の男の声が響いた。
最初のコメントを投稿しよう!