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眼を開ける。
いつの間にか一人の男が、私と私兵の間に割り込んでいた。
振りかぶられていた刃は男の二本の指が器用に受け止めていたのである。
「女の子に刃物を向けるのは良くないぜ?」
涼しい顔で刃をいなしたまま私を抱えると、男は距離を開ける。
「下がってて」
言われるままに少し離れる。
すると男が取り出したのは…
「ベルト…?」
何やら大きなレバーの付いたそれを下腹部にあてがうと、黄色のベルトによりバックルは固定された。
次に取り出したるは、小さな筒状のものが二つ。
それを徐に振りだす。カシュカシュと軽快な音が数回。
その音を聞き届けた男は満足そうに笑った。
私兵の方はというと、私と同じで訳がわからないというように目の前の男を見ている。
「さあ、実験を始めようか…」
栓のようなものを回し、ベルトに装填しようとする。
まずは赤いボトル…。そう、あれはどうやらボトルらしい。
『rabbit!』
続いて青。
『tank!』
『Best-match!』
ベストマッチ?ラビット(兎)とタンク(戦車)が?
訳のわからぬまま、成り行きを見守る。
男はレバーを数回回して、構え叫んだ。
『Are you ready?』
「変身!」
周囲に形成されていく管のようなもの。
それを伝った赤と青の成分は、男の前方と後方でそれぞれ右半身と、左半身を形取り男の体に固着した。
『鋼のムーンサルト!RABBIT-TANK!Yeaaaaah!』
そこに立っていたのは、赤と青の螺旋を身に宿した、見たこともない仮面ライダーだった。
『勝利の法則は、決まった』
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