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影から戦いを眺めていた内藤 銀は少なからず驚嘆した。
いくら擬物の人形が変身しているとはいえ、圧倒的なレベル差があるのは明白だった。
しかし予想に反して圧されていくその戦況。
「まさかここまでやるとは思わなかったよ…西園寺さん、そして凪川 零」
腕輪を外し、ベルトを装着する。
「これを使うのは呼道 勇騎相手にしようとは思ってたけど、行かざるを得ないか」
ジュエルを装填しようとすると、不意にその腕を捕まれた。
驚いて振り向くと、そこにはフユキと夏樹が立っている。
腕をつかんだのは夏樹だった。
首を横に振り、制止するその理由が解らずこちらは首を傾げてしまった。
「もう少し様子を見ろ…と、上からの御達しだそうよ」
そう言いつつもフユキをチラリと見るその視線に大体の状況を把握した。
「全く…アイツら反乱勢力を増長させる真似ばかり進言してるよなお前は」
フユキに対しての言だが、聞いた本人は至って平然としている。
「せやけどあの方はOKだしたで?問題あらへんやないの」
「…まあそうだが」
不可解さは拭えないのだが、あの方の指示とあらばその拘束力は絶対不可避だ。
「貴女の考えてることは分かるわよ…何を目的にしてるか分からないのに、敵に塩を贈るのは確かに不可解よ」
夏樹の見透かした台詞に少しムッとしながらも、再度フユキに質問を振る。
「じゃあ私はどうするんだ?帰るか?」
そんな少し投げやりな言葉に苦笑しながら、フユキは言う。
「いや、この戦いが終わったら君が人形を回収する…それがあの方の指示や」
「回収?多分あの二人なら跡形も残さず壊しそうだぞ?」
確かにと言わんばかりに笑うフユキが差し出したのは、エグゼイドの世界で扱われているデバイス"ガシャコンバグヴァイザー"の次世代型、Ⅱ(ツヴァイ)だった。
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