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そこまでアフターケアされてるって、ある意味怖いなこの「安産」スキル。
俺は思いきり脱力した。
このスキル、発動する機会ってあるんだろうか。
生計立てられるようなスキルじゃない。
ヒモか? ヒモになって子供産みまくれって事なのか!
「あの、本当に素晴らしいスキルなのですよ?」
「俺にはそんなようには…。俺の元の世界では男が妊娠出産ってこと自体があり得ない世界なので」
「まぁ。それでは戸惑うばかりですね」
シスターさんまで困った顔。
俺が一番泣きたいですけれど、一緒に困っても先に進みません。
「あの、貴方は本当に一部の種族からは神様のような方なのです。それはこの世界では確かな事ですよ」
静かな声でシスターさんが言ってくる。俺はそれをぼんやり聞いた。
「竜人族や魔人族、天人族は子が生まれずに困っています。このままでは一族が滅ぶかもしれないと、本当に悩んでおります。貴方はこうした方達を救い、家族を与える事ができるのです」
ふと、ユーリスさんの顔が浮かんだ。
竜人族の王子様で、子供ができないと血が絶えてしまうという彼はとても困っている様子だった。
トクトクと心臓が鳴る。それに戸惑ってしまう。
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