スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

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「あの、でも多くの種族って言われても。子供作るって事は、結婚しようって話にもなると思うし、そうなれば結婚相手の子供ばかり産むって事で…」 「沢山の伴侶を持てばよいのですよ」 「……ん?」  沢山の伴侶とか申しましたか、この人? 「あの…」 「伴侶が一人でなければならないなんてことはありません。複数の伴侶を持つ人なんて沢山いますよ。それに、伴侶を持たずにお金で求められるままに子を産む人もいます。そうした人はとても裕福ですよ」 「えっと…」  ダメだ、本格的に思考がついていかない。  なにか?  この世界は一夫多妻とか多夫一妻が認められているのか?  他にも通い婚とか内縁とか職業妻みたいなのもいるのか! 「安産スキルを持っている方の中には、求められるままに子を産んでお金をもらう人もいるそうです。大きな屋敷に住んで優雅に暮らしているそうですよ」  俺にはその倫理がついていけないです。 「もしもこうした職業を始める気がないのでしたら、このスキルのことは人に話さない方がいいですよ」  ヒソヒソとシスターさんが言う。それに、俺はもう何度目か分からないほどに首を傾げた。     
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