スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

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「貴方のような高レベルのスキルの方は本当に見た事がありません。前述の人達もスキルがあるという程度で、レベル自体は低かったと記録されています。だから、絶滅危惧種族の方でも容易に子は授かれなかったようです。ですが、貴方はほぼ100パーセントです。知られれば浚われて、いいようにされてしまう可能性も」  俺の全身から血の気が引けた。  俺は自分を守るにはあまりに弱い。  唯一縋るべきスキルが逆に俺を危険にするんだ。  浚われたって抵抗できず、いいように嬲られて子をなんて、そんな事も出来てしまうんじゃ…。  震えが走る。これ、俺にはタダの呪いだよ。 「信頼できる…子を産んでもいいと思えるような方だけに教えた方がいいですわ。できれば、絶滅危惧種族の方がいいですよ。彼らは皆お金を持っていますから、子の一人でも成せば優しく養ってもらえます」  俺の震えに同情したのか、シスターさんは気遣わしげにそう言って俺の手を握ってくれた。
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