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「ん? 何かあったか」
カウンターに腰を下ろし、腕輪を魔道具にかざす。
これに、討伐したモンスターの情報や、クエスト完了報告が入っている。
そこに出てきたモンスターのリストを見ながら、カトランは首を捻った。
「お前、もしかして街道沿いに出たっていうティアマットを狩ったのか?」
「あぁ」
「なんでまたそんな面倒を。お前なら無理矢理通れただろう」
モンスターの多い森の中を通れば行けただろうが、マコトがいる。そんな危険を冒すことはできない。結局は彼にとって大変な危険となってしまったが。
「連れがいるんだ」
「連れぇ!」
カトランは素っ頓狂な声を上げた後で、俺の顔をマジマジと見る。
ぶしつけな視線が実に不愉快だ。
「お前、パーティー組まなかったろ」
「パーティーじゃない。異世界人を保護したんだ」
「異世界人だと!」
まったく、煩い奴だ。良い奴なんだが声がでかい。至近距離だと耳が痛くなる。
「登録をしてきたばかりだ。今教会でスキルを見てもらっている」
「人にまかせれば良かったろ」
「そんな無責任な事はしない」
とは、言い訳だろう。
手放したくなかったんだと、今なら分かる。
そして今もそうだ、手放せない。
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