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分かっている、彼の生き方を邪魔してはいけない。
スキルによっては本当に立派に生計を立てられる。修行が必要な職種のスキルなら、いい師につくことが彼にとっていいことだ。
だが、そう思う俺の後ろでそうしたくない俺もいる。
「お前、惚れたか」
「な!」
思わず言葉を詰まらせると、カトランはニヤニヤと笑って俺を見た。
「青春だねぇ」
「カトラン」
「で、その子今後も連れてくのか? それなら冒険者はやめとけ。相手のスキルにもよるが、お前はA級だ、怪我させるぞ」
そこが問題だ。
今の生活は年間を通してほぼ旅暮らしだ。
マコトのステータスを見るだけでも、そんな生活を年中続けて行く事は難しい。
しかもクエストは人族の国ばかりではない。獣人族の国にも行く事がある。あそこは何かと厄介で、種族によっては強引なのもいる。
ライオンの獣人など一夫多妻が一般的で、雄は気に入った相手がいれば強引に攫ってでも手に入れようとする。
そんな場所にマコトを連れて行きたくはない。
「一度国に戻るか」
別に冒険者を天職としたわけではない。国に戻れば王子としての仕事がある。
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