【ユーリスサイド】 離したくない

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 この日は何事もなく野営を張れた。この森でモンスターに遭遇しなかったのはある意味奇跡的だ。  隣に寝るマコトは、テント生活に少しずつ慣れた。最初の頃のようにはしゃぐことは無くなったが、それでも少し楽しそうに足元が弾む事がある。  耳慣れない鼻歌を聴きながら、俺は時間を過ごす事が心地よくなっていた。  マコトの体力で峠越えは辛いだろうと思っていた。  既に人の国から離れている。竜化すればいいのだが、マコトは大きな姿に恐怖心がある。  俺は黒龍族の中でも体が大きい。親友のガロンも大きいが、あれは種族として大型種だ。  黒龍は中型にも関わらず、竜化した姿は大型種と同じくらいある。  そんな俺を見て、マコトは怯えるかもしれない。  恐怖の目で見られるのは、とても耐えられなかった。  足元の悪い道を歩き、先に立ってマコトを導いていく。  なんなら背負ってもいいのだが、多分マコトは乗ってこない。  意外と頑固なんだと最近気づいた。  だから前を歩き、マコトが辛そうな所では腕を引き上げている。それですら、マコトは申し訳なさそうにしていた。  半分も登らない所で、今夜は野営を張った。マコトの体力が限界だ。     
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