3300人が本棚に入れています
本棚に追加
/324ページ
そして翌日、俺は今庭先にでている。部屋に引きこもっているのも精神的に悪いと、赤髪の少年に連れ出されたのだ。
この赤髪の少年の名はロシュ。なんと、竜人族、赤竜族の王子様だった。ユーリスさんを兄のように慕っているのだという。
「マコト、そんなしょげた顔するなよ。ユーリスなら大丈夫だって」
「そうは言っても…」
あの時の恐怖が拭えない。
血が止まらなくて怖かった。このまま死んでしまうと思った。
なのに俺は無力で役立たずでどうしようもなくて。
どうして俺じゃなくてこの人なんだって、何度も思った。
「お前の方が大変だったんだって? 何度か吐いたって、婆様心配してたよ」
「あぁ、うん」
そう、昨日はそれが大変だった。
気を張っている間は忘れていたっぽいけれど、治療してくれたお婆さんが「もう大丈夫」と言った途端に気が抜けて、途端に廊下で粗相をした。
頭が痛いのも、内臓に不快感を感じたのも全部一緒で、俺はへたったまま動けなくなってしまった。
治療してくれたお婆さんの話では、傷自体はないが衝撃が大きくて、人間の俺の体は悲鳴を上げていたのだという。
最初のコメントを投稿しよう!