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翌日の夜、俺は執事さんからユーリスさんの目が覚めた事を教えられて彼の部屋を訪ねた。
ユーリスさんはベッドに座って、とても柔らかな目で俺を見つめた。
「マコト」
「ユーリスさん」
俺の涙腺はこの数日で本当に崩壊状態なのかもしれない。
目を開けて、声を聞けて安心した。安心したら涙が溢れてくる。
心配そうにユーリスさんが立ち上がろうとするのを止めて、俺は涙を拭いながら側にある椅子に腰掛けた。
「ごめんなさい、安心したらなんか」
「心配かけてしまったんだな」
「いいえ」
優しい笑みを浮かべてくれる。俺がのろまだからこんな怪我をさせてしまったのに、怒ったりしない。
どんだけ甘いんだろう。もっと、責めたっていいのに。
「怪我、痛みませんか?」
「あぁ、痛みはない。婆に聞いたが、君の方こそダメージが強かったみたいだが。体調は、大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで」
吐き気とかは完全にないし、ご飯も食べられている。この家の人はみんな俺に優しくて、俺はその優しさが少し痛かった。
「それは良かった。いきなりトラブルに巻き込んで悪かったな。明日には動けるだろうから、少し町を…」
「ユーリスさん」
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