自分がバカだとは知っていたけれど、ここまでとは思わなかった

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 媚薬に頭がふやけた状態とは違う。俺の意識ははっきりしている。  だからこそ、どうしていいか分からない。  なんて言ったら伝わるのか、誰か教えてくれ。  そっと、俺の肩にユーリスさんの羽織っていたガウンがかけられた。そしてそっと、俺の体は離された。  途端に、違う痛みに胸が苦しくなる。拒絶を受け取って、俺は何もかもが崩れて行くように思えた。 「気持ちは有り難い。でもマコト、もっと自分を大事にしてくれ。俺は…」 「俺の貧相な体じゃ、ダメですよね…」 「え?」  苦しくて、悲しくて、涙が止まらない。息が上手く吸えていない。  俺は震えながら、後ろに下がった。  この場所にいる事ができない。もう、ユーリスさんの側にいられない。  俺じゃダメだった。  スキルがあるからって、思い上がってた。  ユーリスさんにも相手を選ぶ権利はあって、俺じゃ全然ダメだったんだ。 「ごめんなさい…」  消え入るような声で言って、俺は脱ぎ捨てた衣服を浚うように掴んで部屋を走り出た。  後ろで慌てたように名前を呼ばれた気がするけれど、振り向く事なんてできなかった。   俺は本当に、バカだった。
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