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俺が言いたい事はユーリスさんにも伝わった。明らかに戸惑っている。
結局顔を見合わせて、双方共に「どうしよう」だ。
レモン水は美味しい。果物も食べれる。俺はそういう動物になったように食べられた。腹も満たされた。
これには吐き気は出なかったけれど、一気に食べると気持ち悪くなるんじゃないかと心配したユーリスさんに止められた。
今は二人並んでソファーに座っている。そして、二人して俺の腹をみつつ意外と早い我が子の誕生を相談していた。
「えっと…早いよね」
「そうだな」
「あの…さぁ。実感ないんだけど」
「まぁ、俺も薄い」
「だよね」
妊娠期間って大事なんだね、心の準備とかのために。うんもすんもなく生まれてくるってどうなのよ。インスタントじゃないよ。
「まぁ、でも…」
ポンポンと頭を撫でられて引き寄せられる。
温かいなって思う腕の中で、俺は落ち着いてくる。
「間違いなく、生まれてくる子は愛せる」
「…そっか」
自信満々という様子のユーリスさんを見上げると、俺もそんな気持ちになる。
ビビって尻込みしたけれど、そっか、一人じゃないんだよね。
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