「息子さんを俺にください!」は俺の台詞じゃなかったか

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 適度に動いて、適度に食べるのがいい。心身共に健やかに。  うん、大事。  でも問題はその後だ。  7日後、出産。  陣痛が始まって、等間隔で痛みが来て、その間隔が短くなる。そのうちずっと痛むようになるけれど、強くなったり弱くなったり。  強弱の問題!  徐々に強い時間が増えていって…破水…でもって強い陣痛が更に増えて…出産。  おぉう…怖いな……。  俺はひたすら自分のスキルに願掛けだ。  確か、苦痛耐性スキルってあったよね。痛み耐えられるって、あったよね。  それにかけよう。  そんな事をしていると、不意にドアがノックされた。  顔を上げて声をかけると、なんだか渋い顔のユーリスさんが入ってきた。  おや? 「どうしたの、ユーリス」  俺は問いかけた。  実は昨日の夜に少し話し合った。「これから夫婦になるんだから、敬語はやめよう」って。  染みついたものは抜けないから、まずは練習。今朝からスタートだ。 「すまないマコト、実は君を見舞いたいという人がいて」 「俺を?」  俺のこの世界の知り合いって、ロシュかマーサさんかモリスンさんしかいない。誰だろう? 「すまない、婆が俺の両親に手紙を送ってしまったようなんだ。それで…」 「あっ、ご両親ね」     
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