「息子さんを俺にください!」は俺の台詞じゃなかったか

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 言ってくれる事は嬉しい。嫁冥利にはつきると思う。  けれど、ユーリスはこの国の王子様で、一人息子で、当然継がなきゃいけないものがあって、それを俺の為に捨てるなんて、させていいはずはない。  妙に不安になった。そうしたら、お腹の中もキュッてした。俺の不安をわかっているみたいに、キュゥってしてくる。  「大丈夫。平気。何でもないから」って、何度も思った。何度も言い聞かせた。  俺はダメでもこの子は受け入れてもらえる。母親の血筋はダメでも、ちゃんとユーリスの子だから。  俺は何度もそう言って、自分自身も慰めた。
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