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執事さんに連れられてきた二人を見て、俺は「あっ」と小さく声を漏らした。ユーリスにとても似ていたから。
王様の方は本当に、ユーリスに似ている。
短い黒髪に黒い瞳で、年を取ったらユーリスもこんな感じだろうなって容易に想像出来る感じだ。
そしてお妃様はとても綺麗だ。
明るい茶色の髪に、大きくて少し垂れた緑色の瞳をしている。穏やかで優しくて、慈悲に溢れた感じがした。
そんな二人が俺を見て、とても優しく笑ってくれる。
立ち上がった俺は、ちょっとだけほっとした。少なくとも、頭から否定はされないと思えた。
何にしても挨拶大事。頭を下げて、まずは名前。
「あにょ!」
いきなり噛んだ!
オロオロしていると、正面から手を握られる。
視線を上げるとお妃様が俺の手を包み込むようにして微笑んでいた。
「大丈夫よ、マコト。そんなに不安な顔をしないで、お腹の子にも移ってしまうわ」
「あ…」
「貴方の不安は、よく伝わるでしょ? そんなに苦しい顔をしてはいけないわ。笑ってちょうだい、可愛い私の息子」
にっこり笑われて、嬉しくて、俺の目はウルウルだ。
お妃様の横に並んだ王様も穏やかに頷いて、俺の肩をポンポンと叩いてくれる。
「息子が、世話になったそうだね。マコト、本当にありがとう」
「いいえ…」
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