種族と結婚とあれやこれや

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「そんな。受けた恩に何か返したいって思うのと、世話になりっぱなしってのも落ち着かないってだけですよ」  顔が少し熱くなる。でも本当にそれだけなんだ。律儀とか、そんなんじゃない。  それでもユーリスさんは「その心根がまず、真っ直ぐだよ」と言って優しく目元を細め、大きな手で俺の頭を撫でた。 「さて、明日はまた歩く事になる。今日は疲れただろうから、ゆっくり寝よう」 「ベッドは適当に使っていいんですか?」  リビングの奥に木製のベッドが10個くらいある。  サイズ的にはセミダブル? 仕切りはない。 「あぁ、使っていい。一応使う前に『クリーン』をかけよう。完全に綺麗になるわけじゃないが、気持ち的にはかなり違う」 「お願いします」  不特定多数が使う布団と考えると、確かに衛生的じゃないかも。  俺は素直にその申し出に甘えた。  そうして寝転んだ布団は案外柔らかくて変な臭いとかもしなくて、安心して寝られた。  体を横たえると不思議と眠気が襲ってきて、俺はそのまま泥のように寝た。
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