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【ユーリスサイド】マコトとの出会い
森で拾った青年は、案外いい拾いものだったかもしれない。
最初はどうしてこんな所に武器も防具も着けていない無防備な者がいるのかと驚き、同時に苛立ちを感じた。
タネヤドシは強力な媚薬を体内で生成する。
その薬欲しさに闇の商人が人を雇い、取引禁止にも関わらず採取をしようとするくらいだ。
だが一番考え物なのは、この植物に一度嬲られた者だ。
強烈すぎる快楽と人では味わえない刺激が忘れられず、わざわざ促進剤を持って犯されに来る者がいる。
命がかかっていることも忘れ、なんとも愚かな行為だ。
促進剤は強力なものだ。
タネヤドシの種は大きく、赤子の頭くらいある。
それを無理矢理体内に深く埋め込まれるのだから、簡単には出てこない。
促進剤は食肉植物の種子を埋め込まれた者や、モンスターに卵を植え付けられた者の体から強制的に堕胎させるためのものだ。
投与されたらその日は地獄のようになる。
昔にそうした者を見たが、ゾッとした。
腹が大きく歪に膨らみ、パンパンに張ってはじけてしまいそうだった。
そこに医者が促進剤を打つと、三十分としないうちに脂汗を浮かべ、身を縮込ませてモンスターの咆吼のような声を上げて叫んでいた。
手足をしっかりと縛り付けられていたが、その理由は分かった。
そうじゃないと暴れてどうにもならないんだ。
時折腹の中が動くのが見られた。
促進剤は強く収縮を促し、強制的に排泄させる。
気持ち悪いのか、そいつは何度も嘔吐していた。
医者が埋め込まれた穴に腕を突っ込んで中をグリグリとかき回すと、ぐちゃっと水が溢れてもの凄い数のモンスターの卵が出てきたものだ。
あの光景は今でもゾッとする。
今回の彼もそうなのかと思った。だがその割に抵抗しているし、助けを呼んでいる。
気になって助けて、虚ろな彼を抱き上げて思わず体が熱くなった。
匂い立つ色香は強力だった。何よりも匂いがダメだ。一気に下肢が熱くなるような強力な匂いだ。頭がクラクラする。
おそらく媚薬に犯されてどうにもならないんだろう。それでもちゃんと会話ができたのだから、凄いと褒めてあげるべきか。
話す内に、彼が異界から渡ってきた者だと分かった。それならこの無防備さも理解できる。
それにしても、気の毒な話ではあるが。
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