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胃袋を掴むのはどこの世界でも必須項目なのか
翌朝、俺達は遅めに出立した。主に俺が起きられなかった。
一晩経つとあれこれ痛んだし、何より起き上がれなかった。
ユーリスさんが『ヒール』の魔法をかけてくれて、ようやくだった。
「肉体的なダメージが大きかったんだな。すまない、昨夜の時点で気づいてやれなくて」
「あぁ、いえ。俺も自覚できなかったので、ユーリスさんのせいじゃないです」
ユーリスさんにかなり手伝ってもらいながら、俺は森を抜けている。
時々どこかで吠える声が聞こえてビクッとなるけれど、隣のユーリスさんが笑って「かなり遠いよ」と言ってくれるので安心だ。
「そういえば、俺が昨日捕まったあの植物って、結局俺に何をしたかったんですか?」
ふと疑問になって聞いてみる。
するとユーリスさんは大分困った顔をして、「聞きたいか?」なんて言ってくる。
うっ、聞いて後悔しそうですが、こうなれば気になって仕方がない。
「後学のために」
「そうか。あれはタネヤドシという食肉植物で、小型の動物やモンスターを餌にしている。普段ならマコトぐらいの大きさは獲物にしないんだが、今は奴らの繁殖の時期。この時期だけは人型を取る者が最も危険だ」
「何でですか?」
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