胃袋を掴むのはどこの世界でも必須項目なのか

4/15
前へ
/324ページ
次へ
 町には昼を大分過ぎてから着いた。  関所でユーリスさんが俺の事情を伝えてくれて、簡単な身体検査をされて通された。  そうして入った町は、結構賑やかなものだった。  関所から真っ直ぐに道が延びていて、その両側がお店っぽい。  食べ物、武器や防具、薬屋、宿屋。国境の町だけあって物が多いし、宿屋も多い。 「贔屓の宿がある。今日はそこにしよう。明日もここに留まって、今後の旅の備えもしたい。マコトの服ももう少しいるし、護身用にナイフくらいはあったほうがいい」 「有り難うございます」  もうこの人に言われる通りにしよう。  俺はこの世界の常識だったり日常だったりを知らないのだから、素直に従う。  親切も今は受け入れよう。そんでもって、俺に出来る恩返しを考えよう。  ユーリスさんは進んでいって、少し大きな宿屋に入った。  中に入ると一階は食事処っぽくなっていて、木のテーブルに椅子が沢山、カウンターの奥にはキッチンとお酒の棚がある。  受付に立っていた60代くらいの男の人がユーリスさんを見て、親しげな笑みを浮かべた。 「こりゃ、ユーリスさん。クエストの帰りかい?」 「あぁ。二人部屋を頼むよ」 「二人部屋?」     
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3313人が本棚に入れています
本棚に追加