3313人が本棚に入れています
本棚に追加
町には昼を大分過ぎてから着いた。
関所でユーリスさんが俺の事情を伝えてくれて、簡単な身体検査をされて通された。
そうして入った町は、結構賑やかなものだった。
関所から真っ直ぐに道が延びていて、その両側がお店っぽい。
食べ物、武器や防具、薬屋、宿屋。国境の町だけあって物が多いし、宿屋も多い。
「贔屓の宿がある。今日はそこにしよう。明日もここに留まって、今後の旅の備えもしたい。マコトの服ももう少しいるし、護身用にナイフくらいはあったほうがいい」
「有り難うございます」
もうこの人に言われる通りにしよう。
俺はこの世界の常識だったり日常だったりを知らないのだから、素直に従う。
親切も今は受け入れよう。そんでもって、俺に出来る恩返しを考えよう。
ユーリスさんは進んでいって、少し大きな宿屋に入った。
中に入ると一階は食事処っぽくなっていて、木のテーブルに椅子が沢山、カウンターの奥にはキッチンとお酒の棚がある。
受付に立っていた60代くらいの男の人がユーリスさんを見て、親しげな笑みを浮かべた。
「こりゃ、ユーリスさん。クエストの帰りかい?」
「あぁ。二人部屋を頼むよ」
「二人部屋?」
最初のコメントを投稿しよう!