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「ほぉ、この子がですか。それはよろしいですね」
ニコニコと言ったマスターさんが俺を温かく見る。そして何度も頷いた。
「竜人の方はそれは食べます。今お出ししている量でも、腹八分なのです。作る時には量を多く作らないと、あっという間に無くなってしまいますぞ」
「はい、心得ました」
本気で気合い入れないと。大鍋って、あるよね。
食事はどんどん進んでいく。
俺は頂いたお酒をちびちび飲んでいる。甘くて、ほんのりと果物の香りがして飲みやすい。
そこそこ飲めるから、この世界のお酒は楽しめそうだ。
「それにしても、本当に食べるんですね」
清々しいというか、呆気にとられると言うか。
テーブルの上の料理はあっという間に消えていく。当然のようにお酒は水のように飲み込まれていく。
「竜人族と獣人族は食べる量が多いな。だが、エルフは小食で菜食を好む。魔人族などは食べ物は食べずにひたすら酒ばかりを飲むんだ」
「酒ばっかり!」
エルフの小食はなんかイメージっぽい。でも、魔族は酒で生きてるのか。
「本来は食事を取らなくてもいいらしい。体を巡る膨大な魔力を循環させて、それで生命活動ができる。食事や飲酒は嗜好品らしいが、奴らは特に酒が好きなんだよ」
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