胃袋を掴むのはどこの世界でも必須項目なのか

8/15
前へ
/324ページ
次へ
「ほぉ、この子がですか。それはよろしいですね」  ニコニコと言ったマスターさんが俺を温かく見る。そして何度も頷いた。 「竜人の方はそれは食べます。今お出ししている量でも、腹八分なのです。作る時には量を多く作らないと、あっという間に無くなってしまいますぞ」 「はい、心得ました」  本気で気合い入れないと。大鍋って、あるよね。  食事はどんどん進んでいく。  俺は頂いたお酒をちびちび飲んでいる。甘くて、ほんのりと果物の香りがして飲みやすい。  そこそこ飲めるから、この世界のお酒は楽しめそうだ。 「それにしても、本当に食べるんですね」  清々しいというか、呆気にとられると言うか。  テーブルの上の料理はあっという間に消えていく。当然のようにお酒は水のように飲み込まれていく。 「竜人族と獣人族は食べる量が多いな。だが、エルフは小食で菜食を好む。魔人族などは食べ物は食べずにひたすら酒ばかりを飲むんだ」 「酒ばっかり!」  エルフの小食はなんかイメージっぽい。でも、魔族は酒で生きてるのか。 「本来は食事を取らなくてもいいらしい。体を巡る膨大な魔力を循環させて、それで生命活動ができる。食事や飲酒は嗜好品らしいが、奴らは特に酒が好きなんだよ」     
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3313人が本棚に入れています
本棚に追加