3313人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、助かるよ」
そう言って俺の頭をくしゃくしゃと撫でていく。うーん、身長差的に撫でやすいのかな。
何にしても俺はその後も数種類のおかずと、おにぎり、サンドイッチなんかを作って粗熱を取り、携帯容器に入れてどんどんウエストポーチの中に放り込んだ。
宿が忙しくなる夕方前に全てを終えられて、ホッとしている。
その夜も宿でご飯を頂いていると、マスターさんがニコニコしながら俺にお酒のグラスをご馳走してくれた。
俺が作った料理を少し味見したいと言われて応じたんだけど、気に入ってくれてレシピを書いた。
そのお礼らしい。
「これでユーリスさんも食事の心配いらないね。いや、ほっとするよ」
「あぁ、俺も嬉しいかぎりだ。優秀な料理番ができて頼もしいよ」
「そんな、俺はそんなに。料理だって、家庭料理ばかりだし」
昔婆ちゃんが教えてくれた料理の数々。
好きだって言ったものは全部教えてくれたし、レシピも残してくれた。俺の数少ない宝物だ。
「マコトはどこでこの料理を覚えたんだ?」
「婆ちゃんが教えてくれたんだ。小さい頃から手伝ってて、それで興味もってさ」
「マコトの、お婆さん?」
ユーリスさんが少し怪訝な顔をする。
最初のコメントを投稿しよう!