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俺の求める要素を十二分に持っている彼はあまりに魅力的だ。
料理番ではなく、嫁に欲しいくらいなのだが…。
ふと浮かんだ欲望に、俺は静かに蓋をする。
彼は異世界からこちらに渡ってきたばかりで、しかも男と関係を持った事もなく、同性婚や妊娠に戸惑いや恐怖を抱いている。
そんな相手を騙すような方法で嫁に貰い、抱くような事はしてはいけない。
何より俺には、子が必要だ。
もしも彼をもらい受け、子が出来ねば彼が辛い思いをする。
周囲は彼を蔑むだろうか。子を成さない嫁など無能と言って、俺に他の者を宛がうだろう。
そうなれば、相手は不幸だ。
屈託無く笑みを向ける無防備なマコトは、俺のこんな思いを知るよしもない。
いい人で居続ける事が、おそらく一番なのだろう。
そして俺もまた、自分の考えに蓋をして封じ込めておくのは得意なほうだった。
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