A級モンスター登場

3/8
3291人が本棚に入れています
本棚に追加
/324ページ
 この世界で俺はどれだけ魅力的に見えるんだよ。色々普通だったはずなのに。 「マスター、部屋を頼む。マコトはここの部屋にいてくれ。誰が訪ねてきても、絶対に部屋から出ないように」 「……え?」  それはどういう意味なんだろう。  俺が首を傾げると、狼のマスターさんは理解したように頷いていた。 「俺はこれから直ぐにモンスターを討伐してくる。そう日はかけないから、マコトはここで待っていてくれ」 「あぁ、うん。それはいいんだけど…」  部屋から出ずに誰が訪ねてきても出るなって、どういう意味だろう。  俺が疑問を深めると、ユーリスさんが耳元に唇を寄せてきた。 「前の町で聞いただろ? 闇商人がいるかもしれないと」 「あ…」  俺の頭でも覚えている。  俺は珍しいから、そういう人に需要があるそうだ。捕まったらそれこそ、大変な目にあうだろうって。 「闇商人に商品を売り渡すのは大抵が道を外れた冒険者だ。そういう輩がここにいる可能性もある。ここは冒険者がクエストを受ける為のギルドだからな」  そう言われると俺は怖くなる。  周囲を見回して、俺を見ている人が全員そう見えてしまう。  身を固くした俺の頭をマスターさんがガシッと撫でた。 「心配すんな! こいつは腕のいいA級冒険者だ。直ぐに済ませて帰ってくるさ」     
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!