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この世界で俺はどれだけ魅力的に見えるんだよ。色々普通だったはずなのに。
「マスター、部屋を頼む。マコトはここの部屋にいてくれ。誰が訪ねてきても、絶対に部屋から出ないように」
「……え?」
それはどういう意味なんだろう。
俺が首を傾げると、狼のマスターさんは理解したように頷いていた。
「俺はこれから直ぐにモンスターを討伐してくる。そう日はかけないから、マコトはここで待っていてくれ」
「あぁ、うん。それはいいんだけど…」
部屋から出ずに誰が訪ねてきても出るなって、どういう意味だろう。
俺が疑問を深めると、ユーリスさんが耳元に唇を寄せてきた。
「前の町で聞いただろ? 闇商人がいるかもしれないと」
「あ…」
俺の頭でも覚えている。
俺は珍しいから、そういう人に需要があるそうだ。捕まったらそれこそ、大変な目にあうだろうって。
「闇商人に商品を売り渡すのは大抵が道を外れた冒険者だ。そういう輩がここにいる可能性もある。ここは冒険者がクエストを受ける為のギルドだからな」
そう言われると俺は怖くなる。
周囲を見回して、俺を見ている人が全員そう見えてしまう。
身を固くした俺の頭をマスターさんがガシッと撫でた。
「心配すんな! こいつは腕のいいA級冒険者だ。直ぐに済ませて帰ってくるさ」
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