スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

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スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

 ユーリスさんに連れられてきたのは、海外の教会って感じの荘厳な建物だった。  これはこれで尻込みだ。入っていいのだろうかという感じだ。  それでも手を引かれて行くと、中は案外人が多い。  神の像の前で祈り、そのままの足で椅子に座って雑談している人も多い。  案外気軽な寄り合い所のような感じなのかもしれない。  連れられて奥へ行くと、個室がいくつも並ぶ場所にくる。扉の前には明らかにシスターという出で立ちの女の人達がいて、ニコニコと訪れる人を招いていた。 「こんにちは! スキルのチェックですか?」 「え? あの…」 「頼む。彼は異世界人でさっき住民登録を済ませたばかりなんだ」 「まぁ!」  まだ20代っぽい女の人が驚いた顔をしている。そしてとてもにこやかに俺を部屋の中へと招いてくれた。  ここは俺一人らしく、ユーリスさんは外にいると言ってくれた。  オドオドしながら中に入ると、薄明るい部屋に人の頭くらいありそうな水晶が一つ、その上に透明なガラス板のような物があった。 「まずはお掛け下さい。心配しなくても大丈夫ですよ。リラックスしてください」 「あっ、はい」  俺の緊張を見抜いたシスターさんは柔らかく笑っている。     
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