3292人が本棚に入れています
本棚に追加
/324ページ
「息子さんを俺にください!」は俺の台詞じゃなかったか
翌日、俺は目が覚めた。
温かい腕に包まれてゆるゆると目が覚める。体は汗ばんでいて、でも心地いい。
どこからか食事の…パンの焼ける匂い…。
「うっ…」
「マコト?」
緩く目を覚ましたユーリスさんが、不審そうに見ている。当然だ、俺は口を押さえて上半身を起こし、突然と押し寄せた吐き気に困惑している。
またパンの匂いが…美味しそうに…。
「うぅっ」
「マコト!」
ダメだごめんなさい!
俺はベッドを降りて辺りを探してシャワールームに駆け込んだ。そして、こみ上げる吐き気のままに吐いてしまった。
どうしたんだよ俺の体。朝から肉が食べられる元気で逞しい胃袋なのに。
心配したユーリスさんが、涙目で吐いている俺を見て慌てて背中をさすってくれている。
それでも俺はダメだ。動けないし気持ち悪い。急速な変化に置いて行かれている。
「婆! 婆はいるか!」
俺の背中に温かなガウンを着せかけて、自分も素早くローブを着てユーリスさんが表に出る。
あぁ、なんかまずい。これ、フラフラする。
えっと……もしかするけどこれが悪阻って言うんじゃないんだろうか。
ぼんやり思いながら、俺はゲホゲホいいつつシャワールームの中に倒れた。
最初のコメントを投稿しよう!