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【ユーリスサイド】 料理人マコト
料理をしている間はゆっくりして欲しい。
そう言われて部屋で武器の手入れをしたり本を読んだりしていたが、どうにも落ち着かなくて一階へとおりた。
「あぁ、ユーリスさん。マコトさんはとても手際がいいね。あれは相当腕がたつよ」
「ほぉ?」
朗らかにキッチンの状況を教えてくれたマスターに、俺は感心の声を上げる。
俺は料理というものがあまり得意ではない。いや、料理に限らず家事全般が得意ではない。
屋敷にいた時にはメイド達がやってくれていたし、冒険者を始めたらそれこそ適当で済ませてしまっている。
料理は宿や食堂である程度の量を保存容器に入れて貰って持ち歩き、足りなくなったら狩りをして捌いて焼いて食べる。
洗濯も川などで石鹸をつけてある程度洗い、干して乾いたらしまう程度。
素材が丈夫だから乱暴に洗っても破れないし、破れたら捨てて新しいものを買う。
食器洗いは気をつけてやっているが、よく皿を割ってしまう。
そんな俺に比べてマコトはとても丁寧で几帳面だ。
丁寧に石鹸をつけて皿を洗い、水気を拭いて磨いてからしまっていた。
これで料理も出来るとなると、俺にとっては嬉しいかぎりだ。
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