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「志穂ちゃん、どうしたの?」
異変に気がついた宮下が志穂のもとへ駆け寄った。
圭人の視線が宮下に移る。
「知り合い?」
宮下が志穂に尋ねる。
「はい。なので先に行ってください。わたしは歩いて戻るので」
「でも、この状況を見過ごせるわけないだろう。君、その手を離しなさい」
「これは僕と志穂の問題なんだよ」
「だからって女の子を力ずくでどうにかしようなんて、最低の行為だって思わないか?」
「関係ない人間は黙ってて」
「わからないようだね。なら覚えておくといい」
宮下はそう言うと、圭人の手を掴み取り、楽々とひねり上げた。
圭人が痛みで声をあげる。
「宮下さん、やめてください」
「でも、こいつは──」
「いいんです。元彼なんです。ちゃんと話さないといけないって思っていたんで」
「本当にいいの?」
「離してあげてください」
そこまで言われ、宮下は渋々圭人を解放した。
だが圭人はさっきと変わらず挑戦的な目で宮下を見ていた。
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