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「なあんだ、残念。でも、いい男でしょう?」
突然なにを言い出すのだろう。
志穂は逆にふたりがどれだけ親しいのかと、さっきの視線を投げかえす。
すると、「違うわよ」と答えがかえってきた。
「わかってますよ」
長谷部は宮下よりもかなり年上。それに長谷部は既婚者で小学生の子どももいる。
「宮下くんが新人の頃、面倒を見たことがあったの」
「長谷部リーダーも営業部にいたんですか?」
「この部署が立ち上がる前にね」
「へえ、そうだったんですね。だから宮下さん、長谷部リーダーの話をしてきたんですね」
「わたしの話?」
長谷部が少し心配そうに言うので、志穂はすぐさま笑顔で「大丈夫です」とかえした。
「変な話じゃないですから。すごく慕っている感じでした」
「生意気なことを言うけど、なかなか優秀な子でね、わたしもつい指導に力が入っちゃった」
「長谷部リーダーのお気に入りだったんですね」
「まあね。だからオススメだったんだけどな、宮下くん」
長谷部は意味深に口角を上げるが、志穂は困惑するばかり。
けれど長谷部はそんな志穂にかまうことなく、「そうそう!」と思い出したように言葉を発した。
「昨日のアンケート集計、よくまとまってたわ。さすが仕事が早いわね」
「もう確認してくださったんですね」
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