9. それぞれの決意

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「なあんだ、残念。でも、いい男でしょう?」  突然なにを言い出すのだろう。  志穂は逆にふたりがどれだけ親しいのかと、さっきの視線を投げかえす。  すると、「違うわよ」と答えがかえってきた。 「わかってますよ」  長谷部は宮下よりもかなり年上。それに長谷部は既婚者で小学生の子どももいる。 「宮下くんが新人の頃、面倒を見たことがあったの」 「長谷部リーダーも営業部にいたんですか?」 「この部署が立ち上がる前にね」 「へえ、そうだったんですね。だから宮下さん、長谷部リーダーの話をしてきたんですね」 「わたしの話?」  長谷部が少し心配そうに言うので、志穂はすぐさま笑顔で「大丈夫です」とかえした。 「変な話じゃないですから。すごく慕っている感じでした」 「生意気なことを言うけど、なかなか優秀な子でね、わたしもつい指導に力が入っちゃった」 「長谷部リーダーのお気に入りだったんですね」 「まあね。だからオススメだったんだけどな、宮下くん」  長谷部は意味深に口角を上げるが、志穂は困惑するばかり。  けれど長谷部はそんな志穂にかまうことなく、「そうそう!」と思い出したように言葉を発した。 「昨日のアンケート集計、よくまとまってたわ。さすが仕事が早いわね」 「もう確認してくださったんですね」
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