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その後、料理が運ばれてきて、圭人が「食べようか」と言って微笑む。
圭人はゆっくりと料理を口に入れた。
正しい箸の持ち方で、食べ方もきれいだ。そういうところにも育ちのよさが表れている。
圭人には自由でいてほしい。嫉妬に狂って誰かに固執することなく、伸びやかに、未来を見つめてほしい。
「うまくいくといいね、好きな人と」
「えっ……」
「なーんて。格好つけて言ってみたけど、本心じゃないよ。やっぱり悔しいし」
圭人はおどけて言うので、志穂も笑みを浮かべた。圭人なりの、はなむけの言葉だったのだろう。
「圭人はいつだって格好いいよ。そんな圭人と出会えて本当によかったって思ってる。好きになってくれてありがとうね」
「別れ話をしてるのに。お礼なんて言われてもぜんぜんうれしくないから」
子どもみたいに拗ねたように言う。
それが圭人の強がりだということは見て取れた。野菜嫌いの圭人が、さっきから野菜の揚げ物をひたすら食べているのだから。
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