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それを聞いて、志穂も当時のことを思い出していた。
一也の父親も不動産会社を経営していると聞いたことがあった。それで一也は大学入学と同時に父親の会社で管理しているマンションに部屋を用意してもらったと。
太一の父親も不動産会社を経営している。今さらだが、名字も一緒だし、見た目もどことなく似ていた。
「何人もの女とつき合ってみたけど、ぜんぜん続かなかった。俺、昔はかなりのクズでさ、修羅場とかも珍しくなかった。そんなとき彩に出会ったんだ」
太一が高校三年、彩が大学二年のときだった。大学四年だった一也が主催していた『投資研究会』というサークルの集まりに太一も参加していて、そのときに彩と仲良くなった。
当時の太一はFXやマネーロンダリングなど、金融や闇の世界にちょっとだけ興味を持ちはじめた頃で、積極的にサークルの人間と交流をはかっていた。
彩は投資に興味があるというより一也目あてでそのサークルに加入していた。そのため、一也に彼女がいることは自然と彩の耳に入った。
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