10.切なくて甘い夜

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「なんか、そこまで言われると、がんばれそうな気がする」 「うん、太一ならできるよ」  太一が微笑み、その目がやさしく細まる。そして、伸びてきた指先が志穂のあごを上に向けさせた。  志穂はそっと目を閉じた。  お互いの気持ちを確認し合った初めてのキスは表面をなぞるように重り、離れ、そしてまた重なった。  素直に太一の胸に飛び込めなかったときの、やるせなかった気持ちを太一にぶつけると、向こうはもっと深くかえしてきた。熱く絡みつかれ、息もままならないほどのキスに変わっていく。  デリバリーのピザを頼むことをすっかり忘れ、ふたりはラグの上で戯れている。  最初、こんなところでと思った志穂だが、離れたくない気持ちが勝ってしまい、服がはだけるのも気にせず、そのまま行為を続行した。  無防備になった素肌の部分にキスされる。深くつながった瞬間は、息が止まるほどの衝撃と快感だった。 「こんな気持ち、初めて。こんなに誰かを愛おしいと思うのも、こんなに欲しいと思うのも」  志穂は太一を見下ろして言うと、微笑みながらキスをした。 「俺もだよ。最初、あんな形で独占していいのか迷ったけど、そうせずにはいられなかった」
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