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身体が上下入れ替わるたび、主導権も入れ替わる。
志穂を組み敷いた太一が言った。
「女にリードされるのは嫌いなんだよ」
なんだかそれが太一らしいと思ったら急におかしくなって、ちょっとだけ笑ったら、痛いくらいに首筋に噛みつかれた。
でも痛みすら愛おしく感じる。
そして次第にその痛みは甘さを含んだものになり、志穂はくすぐったさに首をすくめた。
完全に服を脱がされてからは、太一の手のひらと唇が、頭のてっぺんからつま先まで丁寧に触れてきて、全身がとろけていく。
肌の密着感も心地いい。「志穂」と名前を呼ばれるたびに、身体の奥に灯った小さな欲望もどんどん大きくなって、無我夢中で抱かれた。
*
静かな寝室は、月のやわらかい光に包まれていた。
「泊まってくよな」
「うん」
ベッドの中で裸のまま、お互いに寄り添う。
さっきまでの激しさとは打って変わって、穏やかな時間だった。
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